設備管理システム構築基礎

設備保全管理システム MQUS|開発・発売元:Cysolution

目 次
  • 1、はじめに
  • 2、設備管理システム導入の目的
  • 3、設備台帳作成の目的
  • 4、設備保全管理の基礎
  • 5、設備管理システム運用の定義
  • 6、故障メカニズムの理解
  • 7、保全履歴解析
  • 8、システム運用開始
  • 9、最後に

1、はじめに

製品は設備が作るが基本 ── 経営的保全戦略の柱
保全技術は “経営の要:利益創出の根源”
保全技術者は “生産技術の要”
保全履歴は “生産技術そのもの 企業の生産技術のノウハウ集”

日本の生産技術はそんなものじゃないとの想い──設備管理手法を学び、是非とも日本の物作りの原点を復活させてほしい。

2、設備管理システム導入の目的

保全履歴は工場の宝です、ノウハウ集です。

多くの現場でシステムを導入しても、以下のような問題が見られます。

  • 設備管理手法の考え方が無いまま入力
  • 改善手法を追わない履歴管理(故障メカニズム解析なし)
  • 報告書のためだけの保全履歴管理
  • 整理・解析の活用方法がわからない

設備管理システムは、いかに整理した形の有効なデータとするかが重要です。高価なシステムを使っても、やり方次第では数年の蓄積データが無駄になる可能性があり、実際に多々見てきました。

※設備管理システム導入目的を明確にし、工場の宝としてのデータ蓄積・解析手法を理解し生産安定化に寄与する設備管理を実践してほしい。

保全技術とは

保全技術ではないこと

  • 誰でもできる・メカに詳しければできること
  • 設備停止を素早く修復し立ち上げること

保全技術であること

どれだけ設備の寿命を延ばせ、工場の安定生産活動に寄与できるか。機械要素技術・材料技術・設計技術などを駆使した、幅広い知識・知恵・経験が必要。

※知識豊富な現代だけど知恵を出し切れない現状保全

3、設備台帳作成の目的

(1)MQUSの設備台帳の考え方

従来の設備保全管理システムは設備台帳作成が必須ですが、MQUSシステムは設備台帳作成が無くても設備保全管理が行えます。(極端に言えば設備台帳が無くても使えます。)

  • ①MQUSの設備台帳作成は当面必要な部分のみ、また必要になった時に作成
  • ②計画点検作業(点検カレンダー)を管理したい設備のみを作成

※MQUSの集計・解析は、保全履歴の中の語句を検索し集計しているので、厳密に作成する必要はありません。

(2)解析を考えた設備台帳作成のポイント

ポイント:生産安定活動には設備保全管理システム導入が必須!
作業メカニズム・故障メカニズム解析には設備保全管理システムが必要。でなければExcelで十分。
問題設備の真の原因を探る論理の解析が重要です。

MQUSの特徴

  • 設備台帳がなくても保全履歴登録時随時追加できる
  • 台帳の整理機能も充実
  • 機能的には保全業務・設備管理情報等あらゆる解析が可能

多次元的解析で学ぶこと

  • スキル不足
  • 管理体制不足
  • 設備の弱点

※本質の原因追究

充実が必要な基準書類

  • 整備基準書
  • 点検基準書
  • 各種チェックリスト
  • 点検・整備カレンダー

(3)設備台帳作成の流れ

設備台帳作成(履歴解析を考えたもの/全員での認識の共有化重要)
保全履歴入力項目の定義(故障・点検・整備・時間等の言葉の定義)
保全履歴を入力
報告書の記入要領教育
保全月報の様式を決める
保全履歴集計・解析
設備台帳作成時の登録項目(4項目)
①履歴入力用語の決定・定義 ②作業工賃を決める ③系列・工程損失金額を決める ④重要設備点検表・点検・整備カレンダーを作成
※経営的には損失の削減が絶対。金額は厳密でなくてよい(絶対比較でなく相対比較でよい)

(4)設備台帳の階層構造

登録機器の設置場所を4段階に階層化して設定します。

工場名

例:A工場、B工場、C工場、D工場

工程名

例:Aライン、Bライン、Cライン(名称は任意に変更可能)

装置名

例:整列装置、搬送装置、充填装置、ユーティリティ

機器名

例:充填機、キャップソーター、蓋締め機、駆動機

※経験では工程での集計がベスト。設備の最小管理単位をどう設定するかは、設備管理の効率に大きな影響を及ぼすので十分考慮して決める。

(5)故障削減事例(A工場)

解析の深耕ステップ:①工程の故障件数集計 → ②A工程の件数が多い → ③充填機器が多い → ④充填機器の中でエアー機器・制御機器が多い → ⑤現象を確認 → ⑥対策実施

結果:エアー機器の漏れ・作動不良対策を実施 → 50%削減・300万円/年効果(54件→25件、1年活動)

※設備台帳は、まず重要な回転機器と故障が多い機器の台帳を整理しよう。

4、設備保全管理の基礎

(1)設備重要度ランク分け

設備の点検・整備を効率的に行うため、保全対象設備をランク付けし重点配分します。

SA(特A)ランク

絶対に運転停止できない設備。即、重大影響がある設備。
目安:全設備の15%

A ランク

工程停止となる設備。工場内の各プラントへの影響がある設備。
目安:全設備の15%

B ランク

工程の部分停止となる設備。各プラント内の前後の工程に影響がある設備。
目安:全設備の55%

C ランク

工程の停止に関係ない設備。各プラント内でも殆ど影響がない設備。
目安:全設備の30%

※SA(特A)・Aランクは点検チェックリスト・点検カレンダーを作成。金額は企業形態で異なる。

(2)保全方式の選択(TBM・CBM・BDM)

保全が必要な機器はどういう保全のやり方で行うか、TBM・CBM・BDMを決めます。

保全方式 定義 設定標準 具体的イメージ
TBM
時間基準保全
定められた適正周期に従って定期的に修理整備・検査診断を行い、次の定修までの機能を保証する 故障が生産・品質・保安に大きな影響を及ぼすもの、MTBFがはっきり掴めているもの 予備機の無い重要機器
CBM
状態基準保全
運転中に設備の劣化状態を検査機器を用いて定期的に診断し、重大な故障に至る前に計画的に修理整備を行う 予知技術があり、事前に異常が把握できるもの。振動診断もこれに当たる 予備機のある重要機器、一時停止が可能な機器
BDM
事後保全
故障が発生してから修理を行う。Co-Mo・ローラー作戦等で早期発見し修理を行うことを原則とする 故障が発生しても生産・品質・保安環境等に影響が無く、修理整備も容易なもの 修理整備のため、何時でも停止が可能な機器

(3)点検方式の考え方

日常点検(始業前・運転中)

主にオペレーターが行う。五感による検査が主体。清掃・給油・増し締めを実施。
点検基準書・チェックリストは保全技術者が作成。

定期点検

主に保全技術者が行う。停止時または生産中に実施。技術的要素の五感検査・振動測定・温度測定等。装置を分解しての検査も含む。

(4)点検カレンダーの活用

重点設備に対して検査方式の考え方を定め、計画的・効率的な保全を推進します。

  • 点検チェックリスト作成
  • 点検カレンダー作成(10〜20年間設定可能)
  • 故障報告書・保全報告書の整備
  • 保全月報報告書の確認

※故障月もわかる故障の自動検索プロット機能あり

5、設備管理システム運用の定義

コンサルで感じる最重要事項:蓄積保全履歴データが後々の実のある解析ができるために。

(1)故障・点検・整備の定義

1)故障の定義

※故障を故障ととらえていないことが多い

  • 生産時間中に突発で停止し生産損失があったもの
  • 始業開始時に故障でスタートが遅れた
  • 点検で異常が無くても設備を止めて故障修復した
  • オペミスで生産が停止したもの
  • 生産中に品質異常の為、設備を停止して生産阻害要因を除去
  • 異常によりライン予備機に切り替え損失があった故障

2)点検の定義

点検カレンダーに基づいた設備の点検を行うこと。設備を運転中・停止中に定められた項目に従って五感・簡易測定器を用いて行う機器の状態確認作業。

※故障発生時の点検は、故障にカウント

3)整備の定義

点検カレンダーに基づいた設備の整備を行うこと。機器を分解し部品を取り換え作業。

※故障発生時の整備は、故障にカウント

最重要:最初の定義は十分に議論して決める。一度決めたら途中変えない。損失の定義は明確に記録しておく。管理項目の解析は絶対比較ではなく相対比較なのであまり複雑にはしない。

(2)保全作業項目の内容定義

作業項目 内容
故障修理部品が物理的に破損し交換。突発的な機能不備の為の整備・部品交換・更新・点検・異常時のソフト書換え
故障調査異常確認調査のみで物理的処置をせず正常動作のもの(現象は空欄)。異常原因判明は故障修理
整備定期的な周期のオーバーホール・清掃・養生・予備品の整備も含む
定期点検機能の維持を目的に定期的に行う検査。振動診断、絶縁診断、校正の作業
定期交換定期的な周期の部品単純交換(カレンダーに記載された予定作業)
給油定期的な周期のグリース・潤滑油追加
改善設備の機能追加又は付加のための改良・改善作業
更新定期的な周期の部品交換・ユニットの改善更新
事務作業図面整理・確認・予算管理・データ整理等の事務所内作業
製造自主点検オペレーターによる保全業務依頼。運転中に設備異常を発見し保全に依頼したもの

※MQUSにはあらかじめ保全作業項目が登録されているのでこれを利用する。一度決めたら途中変えない。

(3)機械関係 故障現象項目の定義

MQUSにあらかじめ登録されているが、自分たちの工場に合った現象項目を話し合い決める。

現象定義内容現象定義内容
異音回転体の異常音。Br破損が明らかでも異音とする破損軸などの折損、設備稼働部分の破損・折損
振動回転体の振動・筐体の異常振動過負荷駆動のサーマルトリップ、過負荷大による停止
油漏れ設備上の配管又は機器シール等からの油漏れ作動不良設備の正常動作の逸脱、誤動作含む
水漏れ設備上の配管又は機器シール等からの水漏れがた緩み回転体の固定部緩み
エアー漏れ単純なエアー漏れによる動作不良磨耗磨耗でがた緩み。第一要因とわかれば磨耗とする
センサー異常設備のコントロール用センサーが不良と判明したもの誤操作明らかなオペミス
ベルト切れベルト切れで緩みも含む(駆動チェーンも含む)警報設備保護表示点灯又はアラーム音発生、多発も含む

(4)故障原因項目(ハード)

現場の現象を確認し、その現象に最も近いと思われた直接的な原因を一つ選択する。

原因(ハード)内容
設計・検討不足基本設計段階での機能設計不良、及び生産技術・保全・製造情報の衆知不足
据付不良設備据付時のミス(アンカーボルトの緩み、芯ずれ等)による故障
点検・診断計画不良保全周期不良(次回点検前に故障した)
修理整備作業不良整備作業・故障修復作業を行ったが短期間で故障した
潤滑不良オイル・グリースが劣化し故障
運転不良(誤操作)オペミス
運転側点検不良オペレーター側で点検すべきところを見逃し故障した(日常点検不良・清掃・給油・増し締め等)
強制劣化使用条件が不十分の為の劣化
自然劣化(寿命)現在の技術水準では防げない劣化(安易に決め付けないこと)
調査中真の原因追求が要求される重要故障に仮に使用する(後日修正が必要)
故障のメカニズムを理解し、原因を探ることが技術力アップになる。
例)ゴミ → フィルター詰まり → 油切れ → ベアリング焼きつき
例)作動回数 → スプリング疲労 → 折損

(5)故障原因項目(ソフト)

直接的原因をさらに詰めて考える、真の原因と思うものを選択する。

教育的な問題
技術的な知識の不足無知
悪習慣今までの伝統・先輩の誤指導
不注意軽視または知っていてやらない等
技術的な問題
据付、修理時の問題据付け時、修理時の技術・技能の不備、欠陥を残したことが要因になった
前回故障対策の不備前回の整備、調整が不十分またはやり残しが要因になった
管理的な(基礎的な)問題
教育の不備保全教育を行なう環境・管理体制等が無かった。教材が無かった
情報管理の不備水平展開が徹底していなかった
点検制度の不備点検で排除できた(チェックリストの不備)

6、故障メカニズムの理解

(1)設備故障とは

設備が順調に運転されるためには、設備を保全する人と設備を運転する人が、設備をよく知りかゆい所に手が届く様になって、初めて期待通りの安定生産が可能となる。

設備故障の起こり方と主な現象:

起こり方主な現象
経時変化の放置つまり(異物混入・スケール生成)、腐食(錆・エロージョン)、劣化(材質・強度・絶縁)、磨耗、固着
運転操作不良温度異常(暖気不良・急熱・急冷)、圧力異常(弁操作・過充填)、潤滑異常(油切れ・油種違い)
設計不良材質選定(応力腐食割れ)、構造不適(応力集中・破損)、改悪
技能未熟組立不良(嵌合不良・芯出し不良)、加工不良(寸法不良)、締結不良

(2)機械要素と機能トラブルの関係(12要素)

要素機能部品機能逸脱による現象主な逸脱要因
潤滑潤滑油、グリース焼き付、かじり油切れ、油種不適
軸受玉、コロ、平軸受焼き付、振動潤滑油切れ、過負荷、芯ずれ
連結カップリング、歯車破損、振動芯出し不良、磨耗放置
伝導Vベルト、チェーン、クラッチ滑り、発熱磨耗放置
密封パッキン、シール漏れ、爆発火災磨耗放置、締結不良
摺動ピストン、シリンダー漏れ、焼き付、振動潤滑油切れ、ゆるみ、磨耗放置
流体制御配管、弁、オリフィス圧力異常、流量異常、詰まり異物放置、シート漏れ
締結ボルト、ナット、ピン振動締結不良

(3)故障対策の考え方

対策を考える際の5つのポイント
1. 微欠陥の相乗作用を無視していないか(微欠陥が重なり合うと互いに影響しあって故障を誘発する)
2. 設備や部品が正しくても、その機能を発揮させる十分条件の整備を忘れていないか
3. 設備の劣化を放置したままで、部分的な改善しか考えてはいないか
4. 故障現象の解析が不十分なままで手をうってはいないか
5. 設備または故障個所に目を奪われ、人の行動・考え方の検討を忘れていないか

故障は複合して発生する。対策も次の3点を同時並行的に進める。

  • 1)基本条件の整備(清掃・給油等及び微欠陥の摘出)
  • 2)速やかな劣化の復元と使用条件・環境の整備
  • 3)個別対策(故障発生メカニズムの解析・設計上弱点改善)
  • 4)スキルの向上(運転・保全の両面及びマニュアル化と教育訓練の充実)

7、保全履歴解析

MQUSを始めて保全履歴が蓄積されたら、解析・分析をやってみましょう。

(1)作業項目解析

どのような保全作業が多いのか──忙しさを表す指標を解析します。

工場・工程別の作業項目を比較することで以下のことがわかります。

  • 故障修復に追われている工場 vs 点検・整備が計画的にできている工場の違い
  • 整備の割合が少ない工場は故障件数が多い傾向
  • 給油が多い工場で整備方法が正しいか確認が必要

(2)履歴解析・分析

現象別解析

作動不良が多ければ、どの機器が問題か特定。全体現象を大まかにつかみ、さらに掘り下げると意外と原因が単純なものが多い。

計画 vs 突発比較

計画作業(点検・整備)が突発故障削減にどれだけ寄与しているか。グラフでの効果測定が重要。オーバーメンテの確認にも使える。

担当者別作業解析

担当者がどんな作業で時間を費やしているか可視化。作業時間を登録すれば件数・時間ともに集計可能。

(3)設備損失金額の集計

設備台帳の損失金額/hr × 停止時間 = 損失金額

MQUSはMTBF・MTTR・稼働率・故障件数・作業件数を設備稼動状況として瞬時解析できます。設備損失金額の集計が「ここまで出来たらBEST」です。

※設備停止による損失は保全の力不足と理解すべし

8、システム運用開始

MQUSの最大の特徴

  • 設備台帳は後付けでも可能
  • 画面展開が1画面で全て完結
  • 解析は語句集計で途中項目変更可能
  • 設備管理の経験解析が豊富で実践的

設備台帳登録画面

点検・整備カレンダーも台帳1画面に表示。すべての項目に対して検索・絞り込み・ソート機能あり。同様な機器の登録は複写機能で一部修正可能。

保全履歴登録画面

この画面で全て完結。設備台帳も追加が簡単。カレンダーへのワンクリック実績登録。点検・整備周期を入れれば予定○印を20年間自動プロット。

解析・集計機能

設備台帳・保全履歴をExcelに出力。強力な集計・解析機能マクロ搭載。月毎・年毎、件数・数値集計。棒グラフ・円グラフ併用出力。

初期設定の流れ

初期条件項目登録(工場名・工程名・装置名・機器名・作業項目・現象・原因・担当者名等)
設備台帳登録(重要機器・よく故障する装置から始める)
点検・整備カレンダー設定(重点設備のみ)
保全履歴の登録開始(日常使うのは保全履歴登録画面のみ)
月毎に集計・解析・保全月報確認

※日常使うのは保全履歴登録画面のみ。操作画面は6画面ほど。

Excel連携機能(MQUS特徴)

特徴①

設備台帳・保全履歴・初期項目すべてExcelに出力。Excel上で修正編集し、再び短時間でインポート可能。

特徴②

保全履歴から逆引きリスト項目抽出登録・逆引き設備台帳新規作成が可能。

9、最後に

設備管理システムは工場設備ノウハウを効率的に蓄積するための器です。

設備管理システム導入は闇雲に開始するのではなく、将来を見据えた構築準備が重要です。特に導入初期に保全言葉の定義と知識の共有化が最も重要です。

だから設備管理システムは

  • ①操作しやすい・理解しやすい・扱いやすい
  • ②履歴の集計・解析がやりやすい
  • ③設備管理業務に携わる人にフレンドリー
  • ④Plan → Do → See → Check → Action を判り易く実現できること

計画 → 実施 → 解析・集計 → 確認 → 対策 が重要です。

設備管理とは……
保全履歴を確認し、将来の生産技術の管理のあり方を議論する習慣づけ

故障が起こったら── 過去の保全履歴と図面を見るのが
保全技術者の修復開始の第一歩です。

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